インタビューするご質問は当サイトでご用意したものとご応募頂いた質問の計9つ!急なご依頼にもかかわらず快く引き受けてくださった未幡先生および百合姫編集部様誠にありがとうございます!それでは早速インタビューに参りましょう!
「私の百合はお仕事です!」未幡先生インタビュー!
名前 : 未幡(みまん) Twitter: @n28miman 「2009年コスミック出版から発売された『百合少女』にて百合商業デビュー。その後百合アンソロジー『ひらり、』などで読み切りを発表し、2016年11月にコミック百合姫にて初の連載作品『私の百合はお仕事です!』を発表。現在も同誌にて連載中」 |
わたゆりはどのようにして生まれたのですか?
未幡先生:『学園コンセプトカフェを舞台にしたお話』を描きたいと連載する前から考えておりました。リーベ女学園のようなクラシックな学園の世界を描くこと自体楽しいですし、それが仕事だった場合の二面性は楽しいだろう、というのがこのアイディアの根っこです。仕事の顔と裏の顔の両面があることで、キャラたちは大変な思いをしますし、両面を見れる読者は楽しいだろう。と考えました。
百合姫編集部様から、『連載を企画しましょう』とお誘いを受け、このアイディアにストーリーとキャラクターを加え具体化していき、どのようなキャラ達がこの舞台に相応しいのか、を足掛かりに考えていきました。表裏がテーマになるということを固めていったのもこの頃になります。
執筆の際に作中で意識していることは?
未幡先生:「表裏」をテーマに描いているので、わたゆりでは嘘や演技が多いです。「言わなくても伝わる」ことは殆ど無く「誤解」ばかりでストーリーが進んでいきます。そんなストーリーの中で描きたい部分の「表裏」があやふやになってしまわないよう、わかりやすく描くことを意識しています。
例えば主人公・陽芽がソトヅラを使っているときは、ふるまいも話す内容も「演技してる」とわかるようにコミカルに描いています。また、リーベ女学園での皆も「きらびやかな演技をしてるんだな」と分かりやすく描いています。
全部が答えのわからない嘘ばかりだときっと読者の方は読んでいて混乱してしまいますので、そういった普段から出てくる「表裏」をはっきり分かりやすく答えを出しておくことで、重要な「表裏」であるところのキャラたちの内面を際立たせられるように考えています。
▲わたゆりを語る上で重要な要素”ソトヅラ”
先生のお気に入りのシーンは?
未幡先生:シフト.10「円満なシュヴェスター」 の陽芽と美月の仲直りシーンです。ネームを描いてるとき自分で泣いたりしてました…。
作者なんだからもっと落ち着けよとも思いますが、感情移入して描くのも大事かな、とも思います。
百合漫画を描こうと思ったきっかけは?
未幡先生:初めて描いたのは2005年のコミティアで発行した『雲をつかむような話』という淡い百合の掌編だったと思います。男子を好きになったと話す友達女子にもやもやする女子の話です。買おうとした方から「これは百合ですか?」と聞かれましたが当時「百合」という言葉を知らず答えられませんでした。ごめんなさいこれは百合です。
そのあとに玄鉄絢先生の『少女セクト』を初め百合作品にはまり、「自分も描きたい」という気持ちを強めました。同人誌(少女漫画)で百合のエピソードも描いたりしていたところ、コスミック出版『百合少女』の編集さんから誘われ、初商業作品『花筐』(百合姫コミックス『少女²』に収録)を描くに至りました。その後新書館への持ち込みで『ひらり、』に誘われ、続けて百合の短編を描く機会を頂けました。ですので描きたい気持ちはゆっくりと始まって、徐々に描き始めていました。きっかけを決めるなら、商業としての場を頂けたことが大きかったと思います。
先生が個人的にオススメする百合漫画は?
未幡先生:5つに絞って選んでみました。
・少女セクト(玄鉄絢先生/コアマガジン)
・オクターヴ (秋山はる先生/講談社)
・2DK、Gペン、目覚まし時計。(大沢やよい先生/一迅社)
・ゆるゆり(なもり先生/一迅社)
・終電にはかえします(雨隠ギド先生/新書館)
▲どの作品も百合界の歴史に名を残す名作品
未幡先生にとっての百合とは?
未幡先生:私が読者として百合作品から受け取っているものは、「言葉で説明できないんだけどなんか良いよね」というようなものです。
定義はあいまいで争いになるなら逃げますが、言葉で説明できない代わりに「こういうの良くない?」という漫画は描けますので、作者として自分が良いと思う百合を描いてまいります。そんなように、百合は頂いたり返したりできる場所です。
どういった経緯で百合を好きになったのですか?
質問者:あいあ様
未幡先生:昔、深夜テレビで映画『櫻の園』(’90,中原俊監督, 吉田秋生原作)を偶然見ました。女子校演劇部という学校社会と、過ぎていく時間の中にいる生徒たちを切りとった青春群像劇です。
これに衝撃を受けたのが百合を好きになったきっかけです。百合要素自体は少なめですが、百合の周辺にあるものがたくさんあります。
わたゆりは先生初の連載作品ですが、今までの読み切り作品と何か環境的に変わったところはありますか?
質問者:のむ様
未幡先生:色々と変わりました。まず〆切が1か月ごとに来るということです。わたゆりの連載まで私は漫画1本描くのに1か月で間に合ったことがありませんでしたので、連載を開始するのはとても怖かったのです。でもいざ連載するとなったら覚悟を決めてやっています。それでも連載当初は1か月でも間に合わず、ストックを消費して調整していました。
次に、担当編集さんに助けていただくことが増えました。毎月の打ち合わせでプロットやネームの相談を受けてくださるのでとても助けられています。
そして同じ世界の話を続けて描けるというのが楽しいです。キャラへの愛着は増えていきますし、長い距離で物語を作ることもできます。連載ですと今まで書いてた読み切りと違って「わたゆり」という1つの作品として認知していただきやすいのもとても嬉しいです。
キャラのデザインはどのように決めましたか?
質問者:みゅう様
未幡先生:ONのキャラとOFFのキャラがそれぞれのイメージと合っていて、なおかつ両立できるデザインを目指しました。それと作画が大変にならないようなシンプルなデザインにしました。
陽芽は愛されお姫様ウェーブで上昇志向ツリ目。美月は頑固真面目の黒髪ロング+強眉毛、ONで優しいお姉さまなので黒髪ロング。果乃子はおとなし眼鏡青髪、ONで可憐な青髪。純加は姉御ギャル、ONで髪をほどき+眼鏡でカッコいい先輩に変身できるように。店長は得体のしれないロリ笑顔、不思議ピンク髪+ウサリボン。リーベ女学園はクラシックで清楚な雰囲気を目指してます。学園のイメージカラーが緑なので制服も緑です。
あと背の大きい小さいは単に私の好みです。
総括
未幡先生:この度は百合漫画大賞2018にお選び頂き、誠にありがとうございました。私はこれまで賞などを頂いたことがありませんでしたので、他でもない読者の皆様から投票と言う形で評価を頂けましたことを何より嬉しく思っております。
皆様から頂いたご期待に応えていけますよう、これからも励んでまいります。百合ナビ様、ご質問くださった皆様、有り難うございました。
それでは、ごきげんよう。
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● 未幡先生Twitterアカウント:@n28miman
● 「私の百合はお仕事です!」ゆりひめ@ピクシブ
取材:ふりっぺ(@yuri_navi)
(c)未幡/一迅社