百合ナビ



【特別対談】もし恋発売記念!みかみてれん先生とわたゆりの未幡先生が百合漫画への愛を語る!

PR (株式会社KADOKAWA)

百合漫画への愛をお互いに語り合う!『私の百合はお仕事です!』の未幡先生と『もし、恋が見えたなら』の原作を務めるみかみてれん先生の特別対談が実現!

 

【特別対談】もし恋発売記念!みかみてれん先生とわたゆりの未幡先生が百合漫画への愛を語る!

著者&作品紹介

名前 : 未幡(みまん)
Twitter: @n28miman

2016年11月より、「コミック百合姫」(一迅社)にて『私の百合はお仕事です!』を連載中。(既刊7巻)百合短編集『キミイロ少女 完全版』『少女² 完全版』発売中。
『私の百合はお仕事です!』
億万長者と結婚し、玉の輿に乗ることを夢見る女子高生・白木陽芽。陽芽はその夢を叶える為、外面を駆使し、誰からも愛される女の子を演じていた。そんなある日、陽芽はある事をきっかけに、お嬢様学校の学生に扮した店員が給仕する「リーベ女学園」というコンセプトカフェで働くことに。そこで自分の外面が全く通用しない相手、美月と出会い…?陽芽が、自分自身と、そして周りの人々と向き合う大切さを知るガールズラブストーリー。
名前 : みかみてれん
Twitter: @teren_mikami

2020年6月より、WEB漫画サイト「少年エースplus」(KADOKAWA)にて連載中の『もし、恋が見えたなら』の原作を担当。2020年2月、「ダッシュエックス文庫」(集英社)より『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』が発売。
『もし、恋が見えたなら』
人の恋心が“矢印”として見える主人公・春野鳴。この力を使って、人の恋路に首を突っ込んだ鳴は、小・中学校でハブられてしまう…。失敗を踏まえ、二度と恋愛に関わらないと決めた鳴が入学したのは、全寮制の女子高。しかし、そこで自分に恋愛感情を向けてくる女の子達に出会って…?恋愛を絶対にしないと決めた鳴が、恋に翻弄されるガールズラブコメディ。

 

百合漫画への愛をお互いに語り合う!

 

今回、『もし、恋が見えたなら』のコミックス1巻の発売を記念して、みかみてれん先生と交流のあるという未幡先生に対談をお願いしました。

 

未幡:コミックス発売おめでとうございます。

 

みかみてれん:ありがとうございます!

 

『百合』との出逢いはゆっくりと。

 

早速ですが、お二人はやはり『百合』というジャンルに携わる者同士、交流があるとお聞きしております。まずはお互い『百合』の良さに目覚めたきっかけなんかはありますか?

 

未幡:私が『百合』と最初に出会ったのは、映画『櫻の園』という作品だと思います。そこから少し時間が空いて、玄鉄絢先生の『少女セクト』という漫画を読んだ時が目覚めたきっかけだったのかな、と今は思います。

 

みかみてれん:いいですよねえ。

 

未幡:いいですよねえ。元々、少女漫画のように心情や恋愛が描かれているものが好きでよく読んでいたんですが、同性におけるそれは、男女の常識とは違う面から物語が描かれていて、多分そういうところが引っかかったんではないかなと思ってます。

 

みかみてれん:ああ〜。

 

未幡:『少女セクト』では、登場するキャラクターたちの関係が面白くて、肉体的なものが先行していたり、インモラルなところから始まってたり…。ああ普通の恋愛ものとは何か違うな…と。

 

みかみてれん:『少女セクト』は、ハーレム作って、おやつって言ってキスをしてるすごいシステムあるじゃないですか。すごく好きなんですよね。

 

未幡:ふふふ

 

みかみてれん:わたしはもっとベタベタなんですが、『マリア様がみてる』から入りましたね。白薔薇(ロサ・ギガンティア)ファミリーの聖様がすごく好きでした。

 

未幡:いいですね!

 

みかみてれん:特に8巻で聖様が卒業する前に、主人公の祐巳ちゃんが聖さまにお礼のキスをするシーンがあって、なんか…すごいこう…グッときましたね。

 

みかみてれん:その他は、未幡さんと同じ『少女セクト』や、『ストロベリーシェイク』、アニメでは『極上生徒会』、『舞-HiME』などが、特に“原初”の記憶です。

 

未幡さんの漫画はつらたんです。

 

みかみてれん:『私の百合はお仕事です!』(※以降「わたゆり」とする。)はいや、もう、大好きなんですが…しかし、辛いですよ…こう、心が(笑)。毎月毎月しんどい、死ぬって思いながら読んでるんですが、でもなんか先日読み返してたら、ああ1巻の頃から辛かったんだなって思いました。

 

未幡:えっ 1巻からですか?!

 

みかみてれん:1巻から辛いなって思いました。(二度目) 陽芽ちゃんが最初にうまく働けないとか、美月とバチバチやって陽芽ちゃんが心に傷を負っているとか…いや、すごく上質なコメディでコーティングされてるんですが、その中身はやっぱり、未幡さんの作風がいい感じににじみ出ているな、と。

 

未幡:陽芽と美月の過去の話なんかはあらかじめ考えておいたことなので、1巻の頃から小出し小出し、匂わせてはいます。そういうのがきちんと受け取ってもらえてるみたいで嬉しいです。

 

みかみてれん:いやー、それで二巻のカタルシスでめちゃめちゃ盛り上がって…未幡さんは、そのヤマとタニの作り方がすごい上手いなって感じます。

 

未幡:ありがとうございます。

 

みかみてれん:辛いところをしっかり辛く描けて、でも盛り上がるところをしっかり盛り上げられるから読んでる側としては、すごく感情が揺さぶられて、心に傷を負って、一生忘れられない記憶を植え付けられるんですよね笑。※最上級褒め言葉

 

みかみてれん:特に『わたゆり』は10話が大好きなんです。

 

未幡:えーと10話と言うと。

 

みかみてれん:二人がまたシュヴェスターを続けることになるところですね。

 

未幡:また、ちゃんとそう言うカタルシスがあるところまでたどり着けるよう頑張りたいなって思ってます。

 

みかみてれん:暗い中をかき分けながら進んでいってる感じがしますよね。時々なんかちょっとした光があって癒されて…6巻のあの××シーンなんかは本当にすごい良かったので…。
矢野と陽芽ちゃんの物語がこれからも見られるってのが何より嬉しいです。

 

未幡:はい…ありがとうございます!

 

みかみてれん:あと、キャラクターがものすごく魅力的なんです。未幡さんは。陽芽ちゃんも矢野も純加先輩も果乃子ちゃんも 私はすごく店長好きなんですけど…。

 

未幡:百合漫画ってこう三角関係が作りやすいじゃないですか。

 

みかみてれん:わかります。性別によるポジションを考慮しなくて良いですもんね。

 

未幡:なので、自由に関係性を作りやすいんですよね。その分、キャラクターを丁寧に描けてるのかなと思います。

 

みかみてれんの「エンタメ性」

 

未幡:てれんさんの作家性として好きなところは「エンタメ性」が強いってところなんですよね。

 

みかみてれん:へへへ。

 

未幡:『もし、恋が見えたなら』(※以降「もし恋」とする。)はすごく好きなんです。人の恋心が見えてるってアイデア、そして、その矢印がピンクで表現されているというアイデア。素晴らしいと思いますね。

 

みかみてれん:やー、あのピンクの矢印すごいですよね! あれ実は編集さんの発明なんですけど(笑)。

 

未幡:そうなんですね笑。あのピンクの矢印は読んでる側も楽しい表現ですよね。2色使えるっていいなあって思いました。単行本も2色刷りなんですよね?

 

みかみてれん:そうですね!もちろん。

 

未幡:人の恋心が可視化されているってところに関してなんですが、文字じゃなく絵で表現されているシーンが結構あって、矢印自体の表現も真っ直ぐとかニョロニョロしてるとか、いろんな方向を向いてるとか、表現が多彩ですよね。

 

みかみてれん:文字じゃ表現しきれないところを作画の七路先生に恋の矢印の可視化を結構お任せして描いてもらっていて、そういうところはわたしにはない発想だなって、読んでて面白いです(笑)。

 

未幡:文字じゃちょっと表現しづらいですよね。あっちこっち向いてるとか纏わりついているとか。パッと一枚の絵で見せられるっていうのが、すごく伝わりやすくて素晴らしいですね。ベッドの上から矢印が降ってきて刺さる描写なんかも面白いです笑。

 

みかみてれん:笑 あれはわたしの中で、矢印が物理的なものを貫通していいのかと、かなり検討したのですが…まあ面白いからいいかってなりましたね。

 

未幡:面白いし可愛い表現だったと思います。

 

みかみてれん:そもそも矢印を使っているのは『百合』作品であるというのをわかりやすくするためのアイデアだったんです。「恋の矢印が女の子から女の子に向いてるよ」って、『百合』作品であることへの説得力を持たせるための装置のような。

 

未幡:矢印が恋愛感情であるというのを、主人公の鳴は確信しているんでしょうか。

 

みかみてれん:そうですね。確信していますね。

 

未幡:私は疑わずに読んでたんですが、あくまで、矢印というのは鳴ちゃんが認識している恋愛感情が可視化されているものなんですよね? それで、大きなはっきりとした恋愛以外にも、小さいものだとか、弾けてなくなっちゃうようなものまで、そういうものまで見えている。

 

みかみてれん:そうですね。あれは鳴ちゃんの認識なので、相手の想いの強さや種類でいろんな形に見えるんですね。そんな鳴ちゃんが恋愛とはなんなのかって学んでいくのがこの漫画の主題です。

 

未幡:悩み始めたらどうなるのか、とか想像すると楽しみですね。悩み始めたら能力自体を失ってしまったり。

 

みかみてれん:あ〜そうですね。そういうことはありそうですね。

 

未幡:能力の良さを考え直すこととか、能力自体を失うっていう展開は結構セオリーに則ってますよね。『魔女の宅急便』や『もやしもん』とか。

 

みかみてれん:もし、能力を失ってしまったら、その時、鳴ちゃんものすごく不安になると思うんですよね。今まで自分が好きだと確信してた相手から、好かれてるか確かめる術がなくなる。好感度が上がるピロリンって音が聞こえなくなっちゃうから。

 

みかみてれん:でもそれって本来は普通のことなんですよね。不安だけど自分はこの人のことが好きっていう気持ちで進んでいくのが恋の美しさだと思います。なので、鳴ちゃんにはそういった人間的な強さだとかを育んでいってもらいたいなと思います。

 

未幡:すごく良いですね。

 

創作のテーマは「コミュニケーション」

 

未幡:コミュニケーションが大事っていうのが、言ってしまえば、自分の描いてるもののほとんどのテーマなんですよね。言い換えると向き合うことの大事さというか。てれんさんが描かれてるのもそのコミュニケーションの話になるのかなあと思いました。

 

みかみてれん:確かに…未幡さんの話めちゃめちゃ向き合ってますもんね。

 

未幡:はい。『わたゆり』も結構そういうところがあって、陽芽っていうのは表面的な外面をうまく作ってうまく生きてるって風なんですが、突然それだけじゃうまくいかない場所に放り込まれる。それで、人の裏表に翻弄されて、内面にきちんと向き合っていく必要性を学んでいく…という話なんですよね。

 

未幡:人ときちんと向き合うこと。それが作品のテーマでもあり、私の描きたいことになっているんだと思います。中でも恋愛っていうもの自体が、人間のコミニュケーションの中でもかなり向き合わざるを得ない重たく強いものだと思ってるので、よく題材として描いていますね。

 

みかみてれん:相手の心もそうですけど自分の心と向き合う必要ありますもんね。わたしはそれこそ、自己実現の話が好きなんですよ。陽芽ちゃんが荒ぶりながらも一歩一歩前に向かって進んでいくところが、ほんと主人公だなって感動します。

 

未幡:てれんさんは主人公が欲しいものに向かっていく話が多いですし、欲望が過剰に描かれてるところがいいなって思います。

 

みかみてれん:なんでもオーバーな方が面白いよなって わたしが描くもの大体数字がでかくなっちゃうんですよね(笑)。

 

表も裏も全部見えたら楽しい!

 

今現在の連載の立ち上げの経緯をお伺いできますか?

 

未幡:『わたゆり』は女学園コンセプトカフェっていうのを舞台にしたお話があったら面白いよねってアイデアがあったんですよね。

 

みかみてれん:面白い。(断言)

 

未幡:で、『マリみて』的なクラシックな百合っていうのをメタに捉えたら面白いだろうっていうのと、あと舞台の裏表を読者が見れるってのはきっと楽しいんじゃないかって風に考えたんです。で、そこから膨らませていきました。

 

みかみてれん:読者さんはどっちも見れて楽しいですね!

 

未幡:『もし恋』でも表面的に行われてる関係とは別に、主人公と読者には答えが見えているわけじゃないですか。あれも表も裏が見えているという表現なわけですよね?

 

みかみてれん:確かにそれはそうですね。

 

未幡:だから、人の恋心が見えているってアイデアは素晴らしいと思います。

 

みかみてれん:ふふふ笑。ありがとうございます。

 

未幡:それと物語を作るにあたって、キャラクターが何を欲しいかっていうのはよく考えますね。そして、それとセットで本当に必要なものは何かというのを考えます。

 

みかみてれん:着地点というか正解みたいなものですか。

 

未幡:はい。欲しいものっていってしまえば間違いなんですよ。欲しがっているものは本当にその人が欲しいものではなく、実際に必要なものは…という答えを用意しておくと、物語としては良い成長を描けていいと考えています。

 

作画担当ありきで。

 

みかみてれん:最初は、恋が見える女の子が自分のことがめっちゃ好きなのをわかっていながら友達付き合いする話ってコンセプトだけありました。そこに三角関係が加わって、今の形になりました。

 

もともとは漫画原作のお話をいただいたとき、書き溜めてるメモのアイデアを編集さんに送って、作画の七路さんが気持ちよく描けるようなものを模索していった感じですね。

 

未幡:じゃあ当初から七路先生と相談されながら作っていったんですか?

 

みかみてれん:七路さんにフィーリングでどんなのがいいかを窺って、ですね。どんなものにも相性はありますから。人ごとにも、作品ごとにも。

 

未幡:ふむふむ。

 

みかみてれん:普段の小説は一人で書いてるもので、なので漫画原作の際は一人じゃできないものを作りたいんです。七路さんから送られてきたネームを見て、めちゃくちゃいい表現とか演出があったら、ああこういうのもっと見たい!ってなって、次からの脚本をそっちに寄せてみたり。どんどん作家さんのいいところを見せられる脚本を作っていきたいと思ってます。

 

最後に読者の皆さんにお願いします。

 

 

未幡:『わたゆり』を長く愛していただいて本当にありがとうございます。これからももっと頑張りますので、どうぞ読み続けてください。今現在行われてる『わたゆり』で進んでいる話というのがものすごく佳境に入っていますので、ぜひご注目ください!

 

みかみてれん:わたしの方は、百合漫画の原作をさせていただき、こんなに幸せなことはないです。腕の良い作画さんとも組ませていただいて本当に感謝しております。ぜひ、1巻が発売したところですので、よろしくお願いします!

 

関連リンク

▶ pixiv「私の百合はお仕事です!」
▶ comic walker「もし、恋が見えたなら」

 

関連書籍

私の百合はお仕事です!: 1 (百合姫コミックス)
未幡 (著)
¥660(50%ポイント還元セール中) (2020/12/4 16:00時点)

kindleでチェックする

もし、恋が見えたなら (1) (角川コミックス・エース)
七路 ゆうき / みかみてれん (著)
¥836 (2020/12/4 16:00時点)

kindleでチェックする

[スポンサードリンク]