缶乃先生:はい、よろしくお願いします。
缶乃先生にとっての「百合とキス」とは
缶乃先生:他の漫画もそうだと思いますが、いまの百合漫画におけるキスは、物語のカタルシスのひとつの頂点を示すものになっていると思います。キャラクターの感情が高まった時に行われる、感情的で印象的なキスが多いですね。
読み切りが多かったころに比べて連載作品が増えてきているいま、物語全体としてのピークには告白などの別のイベントがありますが、各話の盛り上がりどころとしてキスは利用しやすいものになってきているのかなと感じます。
作中で初夜や結婚式などの別のイベントがあるとしても、合間あいまの印象的なキスが読者を惹きつけていたと思います。
缶乃先生:あのキスが完結して1年半経ちましたが、いま思い返すと最終話かなと思います。最終話のサブタイトルを『あの娘にキスと白百合を』にすることと、黒沢が白峰に白百合を渡す展開にすることは結構前に決めていて、思っていた通りの最終話が描けたので満足感が高いです。
その他だと20話を筆頭にして陸上部が多いです。4話や17話など、シチュエーション含めていいかんじのキスが描けたと思います。陸上部は瑞希のキャラの割に、展開にキスが挟まるのが自然に感じられるので不思議です。
缶乃先生:キスには場所によって意味があり、例えば3巻15話(園芸部)の足の甲は隷属の意思のあらわれだとか、7巻33話(藍花と灰音)の額へのキスが祝福の意味を持つなどの、それぞれのキスの意味合いを考えて描いているところが多いので、そのあたりも見てもらえたら嬉しいです。
やさかんにおける「百合とキス」
缶乃先生:1話1ページ目のキスは『今回はこういう話をやります』というのを最初に打ち出したくていれました。
あのキスよりも過激なキスシーンが多いのは、あのキスとは違うことがしたかったというのが主な理由です。あのキスでは、作品の世界観のためにあまり過激なことはしていませんでした。今回は「やさかんもあのキスと似た感じだよね?」と読み始めた人をビックリさせたいので、攻めていきたいと思っています。攻めすぎて担当さんによってNGになったネームもありましたが…。
缶乃先生:前作よりも見せ場としてのキスを意識しているので、関係が進むにつれてキスシーンがどう変化しているかなども見ていただけたら嬉しいです。
缶乃先生:1対1の関係を描くときは、関係性の矢印がA→B、B→Aのふたつになることが一般的だと思うんですが、そこにもう1人が加わることで、A→B、B→C、C→A、A→C、C→B、B→Aといきなり6つになる面白さがこの関係性の肝だと思っています。どこかの関係の進展が他の関係にも強く影響するところが面白いと思うし、そこを見てもらいたいです。
タイトルに三角関係と入れていることや、3人それぞれの関係がどんどん変わっていくことで、いったいどうなるんだ!?と思われるかもしれませんが、1話1ページを信じていてください。1話の中に見どころも詰め込んでいますし、展開もはやめを意識しているので、電撃大王本誌で追ってもらえるとより楽しめると思っています。ぜひ本誌のほうもご確認ください!
名前 : 缶乃(かんの) Twitter: @_canno 2013年11月より月刊コミックアライブ(KADOKAWA)にて「あの娘にキスと白百合を」を連載開始し2019年3月に完結。2020年8月には新作「合格のための! やさしい三角関係入門」が発売。 |
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合格のための! やさしい三角関係入門(1) (電撃コミックスNEXT) Kindle版 |
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